ヨガが一時の流行から成熟しつつある現在では、それぞれの伝統でそれぞれの解釈や主張があります。
何を選んでどう実践するかは、個人の好みであって自由です。
それを前提としてクリシュナマチャリヤ師の伝統、すなわちヴェーダ(インド哲学)の1学派としての見方(ダルシャナ)でアーサナとプラーナーヤーマについて説明します。
Yoga Sutra 2.46
sthirasukhamasanam |
・アーサナ(ヨガのポーズ)にはスティラ(安定)とスッカム(心地よさ)が必要
安定してかつ心地よさを感じているのは体だけではない。
マインドも、落ち着いていて心地よさを感じていなければならない。
(知らず知らずに)過剰に体をプッシュすることは、マインドのもやもやざわざわが増大する原因にもなります。
体を使った練習で起こりやすい事象だからこそ、注視することが必要となります。
次のスートラでは、そのヒントを示しています。
Yoga Sutra 2.47
prayatnasaithilya - anantasamapattibhyam |
・緊張を緩めるための特別なやり方をすること
・呼吸への集中
師の伝統だとヴィニャーサクラマというテクニックが、その特別なやり方であり合理的手法となります。
それによってどんな効果がもたらされるのかは、次のスートラが説明しています。
Yoga Sutra 2.48
tato - dvandvanabhighatah |
・そのことで両極端なこと(=Rajas)が抑えられる
つまり、思考や気分や感情のアップダウンが落ち着きます。
アーサナをすると、少しだるいようなお風呂上がりのようなまったりとした気分になる方は多いのではないでしょうか。
このことは、Rajasが下がるとTamasが上がるからというマインドの特性に合致した結果からも説明ができます。
でも、ここで終わらせないのが哲学的ヨガです^^
Yoga Sutra 2.52
tatah - ksiyate - prakasavaranam |
(プラーナーヤーマによって)明晰さ/光(=Sattva)を覆っているもの(=Tamas)が取り除かれる
つまり、アーサナを効果的にするならRajasが下がる。
そして、プラーナーヤーマをきちんとするならTamasも下がる。
こうして、Sattvaが増大する。
リラックスだけにとどまらず、明晰さ/光を引き出すこと。
だって、ヴェーダ(インド哲学)のゴールは本当のじぶんを知ることなのだから。
この後にさらに深いプロセスに進むこともできますが、まずは日々の生活に明晰さをもたらすことが大切。
それは、日常的なアーサナとプラーナーヤーマの実践です✨
おいしい食事を作るためには、まずはお鍋を洗うこと。
この比喩は、デシカチャー先生が瞑想をしたいと希望する生徒によく言っていたことばだそうです。
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アーサナやプラーナーヤーマには、プラーナ(生命力)を増幅させることで活力が増したり(肉体的・精神的な不純物を)浄化したりするという重要な効果もあります。
日常的な練習に期待する効果は、こちらの方が大きいし、本当のじぶんを知るための日々の過程でも心身の健康は大前提です。
そんなことも踏まえつつ、今回はマインドにどう作用するのかという切り口でポーズと呼吸法を練習する理由を説明しました😊